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袴田巖さんのドキュメンタリー映画(2016.2.6)

平成28年2月6日,浜松市木下恵介記念館で,袴田巖さんの釈放後の生活を描いた映画「袴田巖 夢の間の世の中」の試写会に行ってきました。

金聖雄監督が釈放後まもなくの時期から密着取材し,撮りためたものを上手に編集されていました。
当初の能面のような袴田さんの表情がだんだん,自分の意思を明確に主張し始めるところまで,一瞬,一瞬の表情をよく捉えています。知らなかったエピソードもいくつかあり,相当密着取材したドキュメンタリー映画でした。

特に,将棋をやっている表情が印象的でした。
袴田さんは精神を病む前,拘置所で将棋をよくやっていたようです。
試写会の後で金監督が披露してくれましたが,監督が何度挑戦しても勝てない。記者も挑戦するが勝てない。袴田さんが敗れそうになると,真っ赤な顔をし,勝つとどうだというようなとてもにこやかな表情をする。このように映画では人なつこい笑顔の一瞬を捉えています。
秀子さんの豪快な笑い方も素敵でした。当事務所で働いていたときより,笑顔が多くなりました。

思い返せば,平成26年3月27日袴田さんが釈放された日,正直に言うと弁護団の誰もが釈放されるとは思っていませんでした。
今まで再審開始決定が出たとしても,再審裁判が開かれないと釈放される例がなかったからです。今回は,再審を開くという決定であり,再審裁判とは別のものです。

私は,秀子さんと一緒に再審開始決定と拘留停止の決定文を持って,巖さんのいる東京拘置所に向かいました。
拘置所でのガラス越しに,再審開始決定がでたよと何度も説明しますが,袴田さんは,何度もそんなことは知らない,もう終わったというばかりで耳を貸すこともしません。
あきらめて下に降りていくと,応接室で待たされました。
突然,能面のような表情の袴田さんが現れました。ぼそっと,秀子さんにでたよとつぶやきました。話しかけても,ほとんど話さず,何を考えているか,全く表情がありませんでした。
それと比べると,今回の袴田さんの表情はずいぶんと豊かになったと思います。
試写会の最後に,金監督と秀子さんが最近の袴田さんの様子を話してくれました。
将棋は,最近は一切断っているそうです。浜松以外に出ようと言っても,ほとんど出ないようです。

 

死刑の迎えかもしれないという毎朝繰り返される拘置所職員の近づく足音は,365日精神を確実に蝕んでいく。ことに無実の人が死刑判決を受けたならばなおさらである。

失われた時間を取り戻すには,あまりに時間が短い。

 

今回試写会に行ったドキュメンタリー映画「袴田巖 夢の間の世の中」ホームページはこちら

ドキュメンタリー映画「袴田巖 夢の間の世の中」