法律マニュアル

婚姻、離婚について

■ 未成年者でも結婚することはできますか?

 まず婚姻(法律用語でいう結婚)は、自由で平等な男女の婚姻をしようという合意に伴う届出がなされていれば成立するのであって、家のため、親や兄弟のためということによって左右されるものではないことが憲法でも決められています。

 婚姻の条件として、男女の生理的な発達の差など色々のことが考慮されたた結果、男子は満18歳以上、女子は満16歳以上でなければ婚姻することができないことになっていますが、未成年者の婚姻については、まだ思慮の分別が不十分な未成年者を保護するため、婚姻届を役所が受理する条件としてその両親の同意が必要になります。
両親の同意ということになっていますので、その両親が離婚している場合でも二人の同意が必要ですし、逆に両親とも死亡してしまっている場合は必要ありません。

 ただ,以下の場合、両親の一方の同意だけでもいいことになっています。

1.両親の一方がどうしても反対する
2.両親の一方が行方不明
3.両親の一方が病気のため意識がない

 なお、民法では未成年者であっても婚姻している未成年者については、婚姻により成年者と同じ能力を持つことになります。もちろん、それは私法上の効果としてだけあり、いきなり選挙権を持ったり飲酒ができるようになることはありません。正当な結婚生活を送るにあたって障害となる、親権者の制度や未成年者を行為無能力者とする制度に縛られなくなるということです。未成年者のうちに離婚しても成年者の地位が失われることはありません。

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 ■ いとこと結婚することはできますか?

 法律的な結婚を婚姻とよびます。婚姻が成立するには形式的用件と実質的用件が必要です。

 形式的用件とは、婚姻の届出、つまり結婚届を役所に提出することです。実質的用件は次のとおりとなります。

1、婚姻適齢
  男は18歳、女は16歳にならないと婚姻できません。
2、重婚の禁止
  配偶者のある者が重ねて婚姻することはできません。
3、再婚禁止期間の制限
  女性が再婚するにあたっては、離婚または婚姻の取消の日から6ヶ月を過ぎないと届出が受理され
  ません。これは前婚の子か後婚の子かが判断できない子のできるおそれがあるからです。
  この6ヶ月を待婚期間といいます。

4、近親婚の禁止
  ①直系血族間の婚姻の禁止
  ②三親等内の傍系血族間の婚姻の禁止
  ③直系の姻族、又は直系の姻族であったものとの婚姻の禁止
  ④養親子などの直系法定血族、又は直系の法廷血族であったものとの婚姻の禁止



5、未成年者については両親の同意があること
  思慮分別の不十分な未成年を保護するためです。
6、婚姻意思の合致
  一番重要で本質的なものであります。

いとこは四親等の傍系血族なので結婚することができます。

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 ■ 婚約破棄について

 婚約が法的に保護されるには、男女が誠心誠意をもって、将来、確定的に夫婦となることを約束したということが必要となります。

 誠心誠意の判断の基準は色々とありますが、真面目な約束であったか、結婚する意思の確実性があったか、年齢などから見て当事者二人に思慮分別があったかどうか、また、それらのことが外部の人達からも明白にわかるような形態(結納、仮祝言など)をとっていたかなどが挙げられます。

 そのような婚約をした二人は、互いに誠心誠意をもって交際し、やがて夫婦として共同生活を成立させることに努める義務を負うことになりますから、どちらか一方が正当な理由もなく婚約を破棄することは一種の債務不履行の責任を負い、財産的損害(結納金など)賠償や慰謝料の支払義務を負うこととなります。

 正当な理由としては、相手の不貞や虐待・侮辱、相手が重度の精神病にかかったなど、円満で正常な結婚生活を望めなくなった場合が挙げられます。相性が悪い、家風に合わない、親との折り合いが悪いなどということを理由として一方的に破棄することは正当な理由としては認められません。

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 ■ 妻に送ったプレゼントを取り戻すことはできますか?

 夫婦の間でされた契約(贈与、売買など)は、その契約が履行されたあとでも、また何の理由も必要なしに契約を取り消すことができます。

 これは、夫婦の間でされた約束は守らなくてもよいという意味でなく、円満な共同生活を送るべく夫婦が裁判所の介入によって問題を解決するよりは、当事者同士で契約取消権を使って解決したほういいだろうという見地から認められたものです。また契約が、一方からの圧力や溺愛の末交わされた場合であることを考えて無条件で取消すことができるように認められたともいいます。
 

 ただ学説では、この規定が適用されるのは、その結婚生活が正常・円満である場合のみに限るとしています。よって離婚を前提・条件にしたような贈与の場合などは適用されません。家庭内の平和の維持のための規定なので、契約がなされた動機、時期、夫婦間の公平など色々な点から判断されたうえ適用されるものだと考えられます。

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 ■ 結婚していたのですが、主人が長期間行方不明なのです。この場合再婚できますか?

 配偶者がある者が重ねて婚姻することを重婚といいます。婚姻は戸籍の届出がなければ成立しないので、実際上ほとんどないといっていいですが、全くないとは言い切れません。

 例えば、夫が長期間にわたって生死不明の状態であったので、失踪宣告を受けて、妻が再婚したところ、数年後に夫が生存し帰宅したような場合は重婚となります。

 これについて民法は「但し、失踪の宣告後、失踪の取消前に善意をもってした行為はその効力を失わない」と規定しています。この但書から、再婚した当事者が善意であったか、悪意であったかによって判断することとなります。

 再婚当事者の一方又は双方に悪意があった場合は、失踪宣告の取消がされれば、前婚が復活し、再婚のほうは重婚になります。再婚当事者双方が善意であった場合は、失踪が取り消されても再婚は完全なものとなり、取り消すことはできないとされています。

 前婚が復活した場合、重婚は取消という方法で対応されます。この取消には遡及効果(過去にさかのぼる効果)はないので、重婚によって生まれた子が、取消によっていきなり非嫡出子となってしまうものではありません。立派に婚姻から生まれた嫡出子になります。

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 ■ 離婚するつもりはないのに、夫が離婚届を勝手に出そうとしてます。
   どうしたらいいでしょうか?

 離婚には4つの種類があります。協議離婚、調停手続きによる離婚、審判手続きによる離婚、裁判手続きによる離婚です。




 協議離婚とは、夫婦がお互いに話し合うことで離婚の合意をし、戸籍役場に離婚届をすることです。日本の離婚の約90%がこの手続きによるものすが、簡単な反面、多くの問題点もあります。

 夫が勝手に出した離婚届や、届出の時に妻の離婚意識がない場合、離婚は成立しません。しかし、そのような離婚届であっても役所で受理されますと戸籍に記載されてしまいます。このための制度として「離婚届不受理申出」があります。

 離婚届不受理申出は、本籍地か夫婦の移住地を管轄する市区町村役場に、書面で申出書を作成し提出すると、現実に離婚届が提出された場合、それを受理しません。期間は申出の日から6ヶ月以内で申出人の希望する期間内とされています。その期間を経過してもなお、不受理を続けていく場合は、再申出が必要です。

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 ■ 私の不貞が原因である場合、私から離婚請求することはできますか?

 1度でも結婚しますと、そう簡単に離婚というわけにもいきません。民法では裁判による判決で離婚が認められる場合について次のように規定しています。

1、配偶者の不貞行為、すなわち浮気があった場合。
2、配偶者から悪意(わざと)で遺棄(放っておかれた)された場合。
3、配偶者が3年以上の生死不明状態にある場合。
4、配偶者が回復の見込みのない精神病にかかった場合。
5、婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合。これを「夫婦関係の破綻」と言います。具体的には、暴
  力、浪費、怠惰、性格の不一致、夫や妻の両親との不仲などです。

 3,4のように、配偶者に責任がない場合についてまで離婚は認めることとしています。つまり婚姻が破綻してしまったら、それを理由として離婚ができるのです。

 しかしながら、自分が積極的に婚姻を破綻するような行為をしておいて、婚姻が破綻、回復の見込みがないと主張しても(これを有責配偶者からの離婚請求といいます)基本的には離婚は認められません。

 ただし次の場合、有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。

1、別居期間が長期のもの(判決が認めたものとしては30年、35年など)
2、夫婦間に未成熟の子がいないこと
3、離婚後において離婚された配偶者が精神的、経済的に過酷でない場合。

これは、結局破綻してしまった夫婦関係の離婚を否定しても、社会的な解決にならないとの見識が広がりつつあることだと思われます。

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 ■ ボケを理由に離婚することはできますか?

 離婚原因には、不貞、悪意の遺棄、行方不明、回復の見込みのない強度の精神病、その他婚姻を継続しがたい重大な理由があます。

 しかし、大切なことは、こうした事由に当るからと言って、直ちに離婚と言うわけではないということです。離婚後の生活、介護の状況、環境、改善の可能性、反省の度合い、経済状況等、様々な事情を加味して、一切の事情を考慮して離婚が認められないこともあります。

 老人性痴呆症と言うのは、一種の病気ですから、治療と、長期間にわたる介護が必要となります。これは確かに大変な事態であり、離婚という問題が出てくるのもわかります。

 しかし、同時に、その人の今後の介護の方法についてしっかりとした対処をしない限り、無責任な放り出しはできません。人格を尊重し、公的な援助を得ながら、解決策を探すことになります。こうした長期間にわたる今後の方向が明確にならないと離婚は困難かもしれません。

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 ■ 離婚する際、夫婦共同の財産はどうなるのですか?

 財産分与とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた財産を分け合うことです。婚姻中、夫婦が協力して築いた財産は、一方の名義になっていることが多いのですが、それは実質的には夫婦の共有財産となります。そこで、離婚にあたって、共有財産を持分に応じて分ける必要があります。

 対象となる共有財産とは、主に、不動産や預貯金、株式などになりますが、財産の態様はどのようなもの(例えば退職金など)でもかまいません。夫婦が共同して築き上げたすべての財産となります。

 問題はどのような「持分」に応じて財産を分ければ良いのかということですが、法律には1/2等の明確な基準がありません。特殊な事情がなければ基本的には1/2ということになるでしょうが、財産形成についてどのような貢献をしたかということで、その配分割合が決まることになります。

 なお、財産分与は慰謝料とは異なるので、離婚についてどちらが有責であるかということとは関係ありません。ただ、慰謝料の額と相殺扱いされることはありえます。

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 ■ 慰謝料は必ずもらえるのですか?

 慰謝料というのは、精神的な損害を受けたことに対する賠償です。

 離婚をすると、お互いに、かなりの精神的ダメージがあることは間違いありません。しかしながら、一般的には、不貞行為、暴力行為、生活費等の不支給等の明確な帰責性が相手にない限りは、慰謝料は認められません。

 このうち不貞行為は、明確に慰謝料の対象となります。一般的には、100万円から数100万円程度であり、テレビで見慣れている芸能人の離婚のような多額な慰謝料というのは滅多にありません。相手の帰責性の程度や収入等によって個別に決められます。


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 ■ 離婚後もなお、結婚中の氏を名乗ることはできますか?

 普通の婚姻の場合、夫となる男性の氏が選択されるのがほとんどですから、離婚によって婚姻前の氏に戻るというのは女性にとって不当な不利益になると言えますし、離婚の自由を阻害するものであると思われます。また、夫婦に子供があった場合、養育している母親とその子で氏が変わってしまうなどといった不都合が懸念されます。

 そこで民法では、離婚するにあたって婚姻以前の氏に戻る者について、その者が希望するならば、離婚の届出と同時もしくは離婚の日から3ヶ月以内に届出をすることによって離婚後も婚姻中の氏を称することができると決めています。

 ただ、この届出をして婚姻中の氏を称した場合、途中で婚姻前の氏に戻りたくなった場合は、家庭裁判所へ氏の変更許可申立が必要になります。家裁が「やむを得ない事由」があると認めた場合のみ、氏の変更が許可されます。かなり、厳しく判断されているので届出の前によく検討されると良いでしょう。

 また、この制度は結婚の取消の場合や養子離縁の場合にも準用されます。

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 ■ 子どもの苗字が私と異なっているのですが、変えることはできますか?

 子の氏が何らかの事情によって父または母と異なっている場合、家庭裁判所の許可を得て、その父または母の氏を称することができることになっています。

 子が15歳未満の場合には親権者が法定代理人となり、家庭裁判所に氏変更許可審判の申立をします。子が15歳以上なら本人が申立てをします。

 家庭裁判所から許可の審判が受けられると、その許可審判書を添付して戸籍の提出がされ、これが受理されれば、氏の変更となります。

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 ■ 子供の親権がほしいのですが。。。

 親権は、民法で「親権を行うものは、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と規定されており、一般的な身上監護・教育権子の財産管理権の2つに大きく分かれます。権利より義務の側面が多いものです。

● 一般的身上監護・教育の具体的な権利・義務は次のようなものがあります。

1、居所指定権・・・親の指定するところに居住させることができます。
2、懲戒権・・・・・・・親権者は必要の範囲で子を懲戒することができます。
3、職業許可権・・・親権者は子が職業を営む際にこれを許可、取消、制限したりできます。許可を得た場
            合、その営業に関しては成年者として扱われます。

4、扶養義務・・・・・夫婦が離婚して親権者が母親となった場合、親権者にならなかった父親にも扶養義
            務があります。
5、身分行為の代理・嫡出否認の訴の被告となること、認知の訴を提起するとき、氏の変更、養親が未成
  年である場合の離縁取消、養子縁組・離縁の代諾、離縁の訴、親権の代行、相続の承認・放棄など
  です。

 未成年者は行為無能力者なので法定代理人が必要であり、当然親権者がそれになります。

● 1、財産管理権・・・
  子の財産を保存、利用、改良、財産の価値減少とならない範囲の処分ができます。

2、子の財産行為の代理・・・
  子の財産について代理し、法律行為がおこなえます。法律行為とは、相続の承認や放棄などです。し
  かし労働基準法により、子の同意があっても親権者が子に変わって労働契約を締結したり、賃金を受
  け取ることはできないとなっています。
  この代理権は、一般取引の安全を保障するため、父母の片方が勝手に共同名義で法律行為をした
  り、子の法律行為に同意しても(片方が反対してても)有効となります。

● 親権者となるものは、当然その子と共同生活をしている両親ですが、次のような場合、単独親権者となります。

1、父母の一方が死亡した場合

2、父母が離婚した場合

  ①協議離婚の場合は、協議によって親権者を決定します。そこで合意に至らなかった場合は家庭裁
   判所の審判で決定します。
  ②裁判離婚の場合は、裁判所が決定します。
  ③子の出生前に父母が離婚した場合は、原則として母親が親権者となりますが、出生以後、協議に
   よって父に変更することもできます。
  ④父が非嫡出子を認知した場合は、当然母親ですが、これも協議によって変更することができます。

また親権は、身上監護権と子の財産管理権とから成立しているので、協議がまとまらない場合には、妥協策としてこの2つを分離することができます。

 親権者は、その子の親族からの請求によって変更することができます。家庭裁判所が認めれば何度でもすることが可能ですが、協議離婚の際の協議による親権者の指定は1回のみなので、2回目以降は裁判所の判断に委ねられることとなります。

子供の親権がほしい場合は、離婚の際によく協議する必要があります。ある程度の子供を扶養する能力(財産的背景)が必要になります。

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 ■ 離婚し別れた子どもに会いたいのですが。。。

 親権者でなくとも、子どもに面会する権利があります。これを面接交渉権といいます。
 基本的には当事者の話し合いで、その内容が決められますが、常に認められるものではありません。というのは、この権利は親の権利ではあるものの、実際には、子どもの利益、子どもの福祉の観点から認められているものだからです。子どもが嫌がるのに、強引に面会させることは子どもの利益に反します。

 また、父親が、養育費を支払う義務と経済力があるにもかかわらず、養育費を支払おうとしない場合や、刑罰をうけている場合などは、子どもの福祉の観点から面会を制限される可能性もあります。その他、面接交渉権を利用して、親権者、看護者の悪口を言ったり、子どもを連れ去ろうとした場合にも制限されます。

 親権をもたない親が子を連れ去った場合、親権者としてその子の引渡しを請求することができます。この時、子に意思能力があり、親権者以外の者と生活することを望むならば、親権の作用としての居所指定権 を行使します。子に意思能力がない場合は、親権の妨害に当たりますから妨害排除請求をすることができます。また人身保護法の適用もあります。

 このような場合、家庭裁判所に調停事項の変更、子の監護に関する調停の申し立てがなされると、条件が変更されることがあります。

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 ■ 結婚していない二人に子供ができました。父親とはどんな関係になりますか?

 正常な婚姻関係から生まれた子を嫡出子(ちゃくしゅつし)
といい、そうでない子のことを非嫡出子(ひちゃくしゅつし)

といいます。

 非嫡出子について、事実上の父親が認知をすれば、法律上の親子関係となり、扶養の義務が生じたり、相続人となったりする関係が生じます。しかし、母親は出産の事実がはっきりしているので、認知がなくとも母子関係が生じます。そのため非嫡出子は当然、母親の氏を称し、母親の戸籍に入ることとなります。また、父親からの認知を受けた場合、その子は出生の時点からその父の子であったこととなり、父親の氏を称し、父親の戸籍に入ることができます。非嫡出子の親権は当然母親にありますが、父親が認知した場合、父母の協議によって父親が親権者になることもできます。

 

 認知の意思表示、つまり任意認知は認知届という戸籍上の届出によって成立します。この他にも、強制的に認知を要求することができますし、すでに死亡している父親に対しても認知の訴訟を起こすことができます(父親の死亡後3年以内)。また、遺言による認知も認められています。

 認知があった場合、その効力には遡及効果(過去にさかのぼる効果)があるので、認知された子は出生の時点からその父親の子であったこととなり、それまでの養育費を請求できたりすることができるようになりますが、それは第三者の権利を害することができないことになっています。

 父親の相続について、非嫡出子は認知を受けない限り相続人とはなれません。認知を受
けた場合は、嫡出子の2分の1となります。

 しかし認知されたとしても非嫡出子の立場は変わりません。認知後、その父母が婚姻した場合に、はじめて嫡出子となることができます(婚姻準正)。婚姻後に認知がされた場合でも嫡出子となれます(認知準正)。

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 ■ 未成年で未婚の娘が出産したのですが、その子の親権は誰にありますか?

 親権の対象となるのは未成年です。しかし、未成年者でも婚姻をすれば成年者として扱われることとなりますので、この場合親権の対象から外されます。

 親権者になる資格として能力者であることが要求されます。つまり、成年被後見人(精神上の障害により判断能力の欠ける状況にあると家庭裁判所から審判を受けた者)や被保佐人(精神上の障害により判断能力が著しく不十分な状況にあると家庭裁判所から審判を受けた者)、未成年ではだめなのです。もちろん婚姻によって成年者とみなされるものには資格があることとなります。

 しかし、未婚の未成年の女性が子を出産した場合は親権者になれません。この場合、この女性に対する親権をもった者が、代わって親権を行うこととなります(親権の代行)。

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 ■ 未成年の子の財産について、親権者である私が代理人になることはできますか?

 親権には子の財産管理権があります。しかし、親権者と子との間で利益が相反するような財産行為がされる場合、この権限は認められません。家庭裁判所が選任した特別代理人が代理行為をすることとなります。

 利益相反行為には次のようなものがあります。

1、子の財産を親が譲渡する行為
2、親権者が自分の債務について子を連帯保証人とする行為
3、親権者が自己の債務について子を保証人とする行為
4、親権者が自己の債務について子の財産をもって代物弁済をする行為
5、親権者が自己の債務について子の財産に抵当権を設定する行為

以上は、外形的・客観的に判断した基準です。

 外形的・客観的な判断から形式的な利益相反行為にあたらない場合は特別代理人を選任する必要はありません。次のような場合です。

1、親権者が子に贈与をする行為
2、親権者が子の名義の借財をする行為
3、上の借財に併せて、子の名義の財産に抵当権を設定する行為

 また、子が数人いる場合で、子の相互間で利益相反行為となる場合についても、家庭裁判所に請求して各子に特別代理人を選任する必要があります。

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 ■ 出生後まもない子供が放置されていたのですが、どうすればいいのでしょうか?

 父母または身元が判明しないで、出生届がされているかどうかもわからない生後間もない子供、あるいは出生後、数日ないし1~2ヶ月の幼児を棄児といいます。

 棄児が発見されますと、発見者または申告を受けた警察官が、24時間以内にその旨を市町村長に申し出ます。市町村長は、この子供に名前をつけ、本籍を定め、付属品、発見場所、その年月日その他の状況、氏名、性別、出生の推定年月日、本籍などを詳細に記載した棄児発見調書を作成します。この調書は届書とみなされますので、これにより戸籍に記載されることとなります。

 なお、父母が申し出てきた場合、既に出生届がなされているなら問題はありませんが、まだ届出がされてないという場合、申出者から出生届と戸籍訂正申請書を提出させ、子供を本来の戸籍に入籍させます。棄児発見手続きによって編製された戸籍は消除されます。

 この場合問題となるのが子の名前です。先例によりますと、いったん市町村長がつけた以上は、この名前でいくこととされています。名前が気に入らないということであれば「名の変更」の手続きによって変えることができます。

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 ■ 胎児の法律的な地位について教えてください

 民法では「私権ノ享有ハ出生ニ始マル」としています。要するに人間というのは、この世に生れ落ちた時点から権利の主体となったり義務を負担したりすることができる存在になるということです。

 通説によりますと、民法では権利主体になる時点を明確にする趣旨から全部露出説、刑法の領域においては一部露出説が採用されています。

 しかしながら、民法は胎児については特別に規定を置き、一般的に権利能力を承認するという方法でなく、個別的な事項ごとに胎児に権利能力を承認するという制度を採用して有利に扱っています。

 まず、損害賠償という点については胎児は既に生まれたものとされています。ですので、胎児でいる間に父が殺害されたという場合には、胎児として損害賠償を請求することができますし、胎児であっても既に生まれているかのように権利を行使することができます。

 また、相続においても同様に規定され、胎児は保護を受けることができます。代襲相続や遺言、遺留分といった問題でも既に生まれているものと同様に権利が保障されています。もっとも死産の場合は、初めから胎児もいなかったとういう扱いになります。

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 ■ 苗字や名前をかえることはできますか?

 戸籍法では「やむを得ない事由」がある場合に限って、家庭裁判所の許可を得れば氏の変更を認めています。

 「やむを得ない事由」については次のようなものがあります。

1、珍奇、難読、難解とされる氏。例えば「大楢(おおなら)」「穴倉(あなぐら)」など
2、永年使用し続けた氏(永年使用した内縁の夫の氏)への変更など
3、家名、祭祀の承継をするために亡き母の氏を称するといった特殊事情

氏の変更

 氏の変更をするためには、戸籍の筆頭に記載されている者およびその配偶者から家庭裁判所に氏の変更許可を求める申立てをし、家庭裁判所の許可を得る必要があります。家庭裁判所は、その申立てについて判断するにあたって同一戸籍内に記載されている15歳以上の意見を必ず聞くことになっています。許可された場合、申立人からこの許可の審判書を添付して市区町村長へ提出し、受理された上で、変更となります。戸籍も新しい氏で編製されます。氏の変更の効果は、同一戸籍内にある者全員に及びます。

 また、同一戸籍内の戸籍筆頭者およびその配偶者以外の者が氏の変更を申立するためには、分籍をし、新しい別の戸籍を編製した上でないといけません。分籍が認められない未成年者は不可能です。

名の変更

 名についても「正当な事由」があり、家庭裁判所の許可審判を受ければ変更できます。

 「正当な事由」については次のようなものがあります。

1、営業上の目的から襲名する必要がある場合。
2、同姓同名のものがあって、社会生活上、甚だしく支障がある場合。
3、神官もしくは僧侶となる、神官もしくは僧侶をやめるために改名の必要がある場合。
4、珍奇、外国人とまぎらわしい、難解・難読な文字を用いた名で、社会生活上、甚だしく支障がある場
  合。
5、帰化した者で、日本風の名に改める必要のある場合。
6、異性と間違われるおそれのある場合。
7、永年通称として使用し、社会生活上、戸籍上の名を使うことに支障が生じる場合。

 変更後の名は、家庭裁判所の判断によることとなるわけですが、原則として常用漢字および人名用漢字の範囲で決められます。

 氏名について誤字・俗字が使われてるのを訂正する場合は、その旨を戸籍担当者である市区町村長宛に申し立てればよいこととなっています。

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