相続問題でお悩みの方へ
多くの方にとって、相続は、人生で何回も経験することではありません。が、必ず経験するものです。
今まで仲が良かった身内同士が、相続問題で大変な思いをするというのはよく聞くことです。
相続で一番大切なことは、故人の思いをいかにくみ取ってあげるかということです。当事務所所長弁護士の岡島は、静岡家庭裁判所の遺産分割の調停委員を長年務め、2013年には調停員会から表彰も受けております。感情がもつれてぐちゃぐちゃになった相続問題を、法律問題と感情問題に切り分けて考え、整理して解決することは得意としております。
ご自身で相続問題を解決できない場合には、ぜひお手伝いさせてください。
どのようなことでお悩みですか?
↓該当のお悩みがございましたら、クリックしてご覧ください。
このようなお悩みはありませんか?
- 遺言が見つかったけど、どう手続きしたらいいか分からない
- 本当に被相続人が作成した遺言なのか疑わしい
遺言とは、作成者の死亡後の法律関係や、財産の配分について定める、作成者自身の最後の生前意思表示です。相続財産は、相続権を持つ相続人が、法律で定められている相続分に沿って分割するか、あるいは遺産分割協議を行ってどのような配分で分けるか決める方法が一般的ですが、被相続人の遺言が発見された場合には、基本的にはその遺言に従うことになります。
遺言を作成する理由としては、自身の財産を予め明記したうえで、遺産の継ぎ先を指定することにより、相続手続きを緩和させたり、相続人同士の争いを未然に防いだりといったことが考えられますが、悲しいことに、遺言が相続争いの火種となることも珍しくありません。
遺言に関する調査や手続きは迅速に!
1.そもそも遺言があるかどうかが分からない
遺言は、時と場合に応じて様々な作成形式がありますが、最もメジャーなのは、自筆証書遺言・公正証書遺言の2パターンです。この2パターン以外はよっぽどの事情がなければ作成されないと思ってよいでしょう。
- 自筆証書遺言
全文を自筆で作成し、自分の手で保管する遺言です。作成者の元で保管されることが一般的なので、被相続人の自宅を探してみる必要があります。なお、令和2年7月10日より、作成した自筆証書遺言を法務局が保管してくれる制度が運用開始されていますので、令和2年7月10日以降に作成されている可能性がある場合には、法務局に問い合わせてみるとよいでしょう。
- 公正証書遺言
公証役場に依頼し、公正証書という形で作成する遺言です。公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管され、本人には正本と謄本が交付されますので、被相続人の自宅にはそれらが保管されているはずです。また、過去に公正証書遺言が作成されているかどうかは、全国各地の公証役場において検索することが可能なので、問い合わせてみるとよいでしょう。ただし、相当に古い時期の公正証書遺言についてはデータ上管理していない場合もありますので、被相続人が住んでいた地域の公証役場に直接赴く必要があります。
2.自筆証書遺言の場合は検認手続きが必要!
自筆証書遺言を発見した場合、まずは家庭裁判所で「検認」を受けなければいけません。検認とは、裁判所において、遺言書の内容や状態を確認してもらう手続きで、これを行わないと対外的に遺言の存在を示すことができません。また、検認前に封筒などに入っている自筆証書遺言を開封してしまった場合、過料が科されてしまう場合がありますので、検認前の開封は厳禁です。なお、検認手続きとは、単に「このような遺言がありました」という存在を証明するだけの手続きであり、遺言の有効性を担保するものではないのでご注意ください。
なお、法務局に保管されている自筆証書遺言や公正証書遺言については、検認手続きは不要です。
3.遺言による相続手続きについて
遺言をもとに相続手続きを行う場合、利害関係人全員で手続きを行う方法と、遺言執行者が行う方法があります。
- 利害関係人全員で手続きを行う方法
利害関係人とは、相続人だけでなく、遺言によって財産を受けることになる人(受遺者)も含みます。例えば、遺言に基づいて預金を解約する場合や、不動産の相続登記を行う場合などの際、利害関係人全員の署名や押印を求められますので、全員で協力して手続きを行う必要があります。
- 遺言執行者が行う方法
対して、遺言の中で遺言執行者が指定されている場合、相続手続きは基本的に遺言執行者が単独で行えるようになります。なお、遺言の中で遺言執行者が指定されていない場合でも、被相続人の死亡後に、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることも可能なので、利害関係人全員での手続きが面倒だと感じる場合には、選任申立てを検討するとよいでしょう。
4.遺言の内容に異議がある場合
問題となるケースは自筆証書遺言の方が多いかとは思いますが、遺言が偽造されていたり、または特定の利害関係者が本人の遺志と無関係な内容を書かせたりしている可能性があります。このように、遺言の有効性が疑われる場合、根拠を元に「無効である」という主張を行うことが必要です。
例えば、
- 「遺言を作成するときのルールに則っていない」
- 「(重度の認知症などにより)自分の意思で遺言を作成する能力が無かった」
などです。遺言の有効性が疑われる場合には、弁護士への相談をぜひご検討ください。
併せてご覧いただきたい!
このようなお悩みはありませんか?
- 兄弟が親の生前に援助をしてもらっているのに、受け取れる財産は同じなの?
- 長年親の介護や援助をしてきたのに、自分の受け取れる財産は変わらないの?
遺産の分割について相続人間で協議する場合、上記のお悩みのようなことが問題となります。前者のケースでは「特別受益」が、後者のケースでは「寄与分」が主張できる可能性があります。いずれの場合も、相続人間の公平を多角的に検討するために必要な要素ですが、一方で相続争いが長期化する要因になります。
特別受益について
特別受益とは、被相続人の生前に贈与などを受けていた相続人の相続分について、贈与などを相続分の前渡しとみる制度です。簡単に言えば、「生前に贈与を受けた分、相続分から差し引くべきだよね」ということです。特別受益として認められた贈与などは、被相続人の財産の総額に持ち戻されることになる上、贈与を受けた相続人の相続分から、特別受益の額が差し引かれることになるので、相続人間の公平性が実現されやすくなります。
ただし、何をもって特別受益とするのかという点については多くの判断基準があり、一律に定まっていないのが現状です。それこそ、個別具体的な事情に基づいて判断される必要があります。特別受益の主張をしたい、もしくはされているという方につきましては、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。
寄与分について
特別受益のように、相続人が被相続人から利益を受ける場合があれば、反対に被相続人が相続人から「利益」を受ける場合もあります。例えば、
- 相続人が被相続人の家業に長年無償で従事した
- 相続人が被相続人の介護を長年務めた
- 相続人が被相続人の生前に借金を代わりに返済した
場合などです。相続人の被相続人に対する行為により、被相続人の財産が増加した、もしくは減る予定であった分が減らなかった(維持された)ということが起こり得ます。このように、相続人の被相続人に対する行為により、被相続人の財産の増加や維持に貢献した場合、その貢献度合いに応じ「寄与分」というものを主張できる可能性があります。
ただし、この「寄与分」についても、全ての行為が寄与行為として認められる訳ではありません。寄与分に当てはまるかどうかについては、行為毎にいくつかの類型に分けられた上で、それぞれの基準がどのようになっているか、そして当該行為がその基準に当てはまるかということを検討しなければなりません。個別具体的な事情背景も大きく関係しますので、一概な見解を出すというのも難しい事柄です。
寄与分を主張したい、もしくはされているという方につきましても、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。
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このようなお悩みはありませんか?
- 遺言によって自分の受け取れる財産がほとんど無く困っている
被相続人の作成した遺言が有効である場合には、原則はその遺言に従って手続きを行わざるを得ません。例外として、利害関係人全員(遺言執行者が指定されている場合には遺言執行者も含めて)が、遺言に拠らない遺産分割を希望する場合には、遺産分割協議等に拠って遺産分割が可能となりますが、一方に不利な遺言は他方に有利な遺言であり、遺言に拠らない遺産分割に応じる可能性は低いのではないかと思われます。
ただし、仮に遺言によってほとんど財産がもらえないという場合でも、相続権を持つ相続人個々の権利として「遺留分」というものがあります。これは、被相続人の財産をどのように分けるかは被相続人の自由とする一方で、相続人にも一定の財産を受け取る権利を保障すべきとして設定されているものです。なお、遺留分の請求権については、自己の遺留分が侵害されている事実を知った時から1年以内に行使しないといけません。「遺留分を主張したい!」とお考えの場合は、早めに弁護士等の専門家への相談をご検討ください。
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このようなお悩みはありませんか?
- 相続人の数が多すぎて、一体誰が相続人なのか整理できない
- だいぶ前に亡くなった親族の相続手続きが未了だったようで、自分たちにも影響があるかもしれない
- 親が営んでいた事業の借金が複数あるようだが、どれだけあるかが把握できない
- 音信不通の相続人がいるが、その相続人抜きで手続きしてもいいのか分からない
相続人や相続財産の把握は、相続手続きの始めの一歩ともいえる重要な工程です。迅速に調査し、遺産の全貌や相続人の数を明らかにすることで、速やかに次の工程に移ることが可能です。
また、相続開始にあたっての調査以外にも、様々な要因で調査が必要になるケースもあります。そのような場合、事件全体の解決に向けて、調査段階から弁護士を入れることでスムーズに解決できる可能性があります。
相続人・相続財産調査を迅速かつ正確に遂行します!
例えば、相続人を把握するにあたっては、被相続人や相続人の戸籍謄本類を取り寄せることが必要となりますが、本人以外が取り寄せる場合には委任状が必要であったり、複数の自治体に請求をかける必要があったりと、手続きは煩雑になりがちです。その点、弁護士は職権で事件に関する公的書類を取り寄せることが可能なので、迅速かつ正確に調査を行うことができます。
また、相続財産の調査として、例えば被相続人が複数の預金口座を持っている可能性があり、複数の金融機関に調査を掛けたい場合も、「どこに電話をかけたらいいのか」、「必要書類は何なのか」など、分からないことが非常に多いものです。特に必要書類は金融機関によって微妙に違う場合も多く、同時並行で調査を行うには複数部揃えなければいけない場合もあり、時間もお金も多くかかります。この点、弁護士事務所においては、財産調査におけるノウハウが蓄積されており、また、「弁護士会照会」と呼ばれる、その職務の公共性に鑑みての情報収集手段が設けられています。個人の照会では開示が困難なものでも、弁護士会照会に拠るとすんなり開示される場合が多くあります。
「相続人や相続財産の調査を素早く行いたい!」、「煩雑な作業は全部任せたい!」という方は、ぜひ弁護士への依頼をご検討ください。
「法定相続情報証明制度」の利用が便利!
被相続人の預金口座の残高などを複数の金融機関に照会する場合、ほぼ全ての機関で、
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 各相続人の戸籍謄本
の原本が必要になります。それぞれの機関で必要となるので、「同時に照会をかけたい」という場合には、原本が複数必要になりますが、役所に請求する際には1通辺りに発行手数料がかかりますので、費用が余計にかかることになります。かといって、1つの機関に照会をかけて、書類が戻ってきたら別の機関に…とやっていては、調査に大幅な時間がかかってしまいます。
「法定相続情報証明制度」とは、法務局で利用できる制度で、必要書類を揃えて申請すると、戸籍謄本類の代わりとして、「法定相続情報一覧図」というものを発行してくれ、それらを金融機関への照会の添付資料として利用することができます。
申請時に必要部数を無料で発行することができますので、余分な費用が掛かるという心配もありません。調査対象が多い時には大変便利な制度となっていますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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このようなお悩みはありませんか?
- 亡くなった親の借金がかなりあるみたいで相続したくない
- 相続放棄の手続きが自分でできるか不安…
相続財産というのは、決して自身にプラスになるものばかりではなく、借金や債務などマイナスになるものもあります。借金や債務の額次第では、相続することで損をする可能性もあります。そのような時は、「相続放棄」を検討する必要があります。
相続放棄とは、相続権を持つ相続人が、資産や借金を含めて一切の相続財産に対する相続権を放棄することです。正しく相続放棄ができれば、借金などを引き継ぐ心配はありません。
期限内に家庭裁判所に手続きを行う必要がある
相続放棄はただ口頭で宣言すればよいものではなく、家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。また、相続放棄の手続きには期限があり、「相続を知った時から3ヶ月以内」となっています。この期限を過ぎた場合、被相続人の全ての財産を相続するものとみなされてしまい(単純承認)、原則として相続放棄はできなくなってしまいますので、この期限内に相続の方向性を検討しないといけません。
相続放棄するかどうか悩んでいる場合
被相続人の借金や債務が一定程度あることは分かっているものの、もしかしたら把握していない預金があり、トータルではプラスとなる可能性もあるかもしれません。また、一定の資産もあって、運用次第で借金や債務を引き継げる可能性もある場合に、借金の全貌をきちんと把握したいという場合もあるかもしれません。
1.「限定承認」という選択肢もある
被相続人の財産がトータルでプラスなのかマイナスなのか分からない場合、「限定承認」を検討すべきかもしれません。限定承認とは、相続放棄と同じく家庭裁判所に対し行う手続きで、簡単に言えば「被相続人の借金や債務などのマイナス財産を、相続するプラス財産の範囲内でのみ相続する」ための手続きです。預金や資産などのプラス財産を用いて、借金や債務などのマイナス財産を清算していき、最終的にプラス財産が残ればその分は相続できますし、マイナス財産が残る場合でもプラス財産の範囲内でしか責任を負いませんので安心です。ただし、限定承認手続きは、時間もかかる上にかなり複雑な手続きとなりますので、弁護士などの専門家に依頼することを強くお勧めします。
2.期限内に結論を出さなければならない
既に述べている通り、相続放棄には3ヶ月という期限がありますので、結論を出すためにはその期限内に調査や手続きをしなくてはなりません。迅速な調査が求められていますので、この点につきましても弁護士などの専門家への依頼を強くお勧めします。
3.検討期間を伸ばす手続きも可能
とはいうものの、被相続人の置かれていた状況や財産の規模によっては、3ヶ月以内に結論を出すというのが物理的に不可能な場合もあります。そのような場合は、家庭裁判所に対して「熟慮期間伸長」の手続きを行うことで、3ヶ月以内という期限を伸ばすことができます。こういった手続きも、初めての経験で分からない場合があるでしょう。
これらの点も含め、相続放棄に関係することでお悩みの場合は、ぜひ弁護士などの専門家へご相談ください。お客様のお悩みや実現したいことに対し、最適な答えやサポートが行える可能性があります。
併せてご覧いただきたい!
このようなお悩みはありませんか?
- 相続人同士でトラブルにならないよう遺言を作っておきたい
- 自分が認知症になった時に備えて家族信託の準備をしたい
- 相続税対策のために事前に財産を渡しておきたい
ご自身が亡くなり、自身の財産について相続が始まった時、場合によっては様々なトラブルが起こり得ます。そのトラブルの大半は、自身の生前の内にしっかり対策を行うことで回避が可能です。
元気なうちに行いましょう!
生前対策は、「財産を具体的にこうしたい」とか「相続人同士でこうなってほしい」とか、自分の意思を明確にしたうえで、ご自身の意思に沿って手続きを行っていく必要がありますので、“元気なうち”に行うことが何よりも重要です。認知症を発症し判断能力が低下してしまっているような状況では、いざ対策を行おうと思っていてもできません。「まだ元気だから大丈夫だろう」とは決して思わず、ご自身の相続や行く末について不安がある場合には、早めの対策をお勧めします。
トータル的なメリット・デメリットを考慮する必要がある
例えば、特定の相続人や相続人以外の人物に財産を遺したいという場合、遺言を作成することで実現ができますが、一切の事情を考慮しなければ、生前の内に渡す(贈与する)という選択肢もある訳です。ですが、当然様々な問題が発生する可能性が高い訳で、そういったメリット・デメリットを考慮する必要があります。ご自身のケースの置かれている状況によっては、特定のメリット・デメリットが生まれない可能性もあります。さらには、そのデメリットを解消するための対策もあります。
結論的には、生前対策の核となる1つの目的を達成するためには、様々な事情を考慮する必要がありますので、正味専門家の協力は必要不可欠ではないかと思います。
生前対策でお悩みの方は、ぜひ弁護士などの専門家へ相談してみましょう。
相続Q&A
相続における様々な局面の問題について解説しております。
相続の疑問を解消する手掛かりになれば幸いです。
なお、Q&Aにて示すものは、一般的な見解です。事案ごとの内容によって見解がかわる場合もありますので、より詳しい見解をお知りになりたい方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
各Qをクリックしてご覧ください。クリックすると、当事務所の相続専門ページにリンクするようになっています。
1.遺言のことについて知りたい | |
Q:遺言を発見したら? | |
Q:夫婦連名の遺言はできる? | |
Q:複数の遺言の効力関係は? | |
Q:遺言書があると、遺言書の通りに分けないと駄目? | |
Q:遺言による生命保険金の受取人変更は可能? | |
Q:不倫相手への遺言は有効? |
3.遺産分割のことについて知りたい |
Q:故人の借金も遺産分割したのに…? |
Q:遺産分割協議書の作成期限は? |
Q:一度成立した遺産分割協議を解除することは可能か? |