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税務実務セミナーに参加しました(2020.5.24)

令和2年1月25日(土)、同年2月1日(土)及び同月8日(土)に開催された中央大学法科大学院主催の税務実務セミナーを、静岡県弁護士会において動画配信で受講してきました。そこで、学んだことを紹介致します。

以下の事例を題材とします。

O社の社員Fさんが、S社の担当Sさん他3名と会食を行い、接待がうまくいったので、その場が盛り上がり、お酒の量が進んでしまいました。いざ、会計をしてみると、合計2万4500円であり、1人あたり6125円になりました。

O社では1人あたり5000円を超える場合、会社の経理への事後報告手続が必要であるがそれを面倒に思ったFさんは、接待の翌日、隣のデスクのIさんと相談の上、1人当たり5000円以下にするために、接待の席にIさんも参加していたということで、会社に報告しました。

1 法人における課税対象となる所得

法人において、課税対象となる所得は、簡単にいえば、儲け(益金)から費用等(損金)を引いた金額となります。
「法人の各事業年度における所得=益金-損金」

2 交際費

しかし、何でもかんでも損金に入るわけではもちろんありません。
例えば、交際費という項目があります。典型例としては、取引先との接待です。
この交際費については、損金への算入が制限されます。
ただし、「1人当たり5000円以下の飲食費」の枠内に収まっていれば、交際費の範囲から除外されます。したがって、「1人あたり5000円以下の飲食費」は会社の損金に算入され、法人における課税対象の所得が少なくなるので、税金が抑えられることになります。

3 過少申告加算税・重加算税

また、国税通則法には、以下の規定があります。
会社が税額を過少に申告した場合には、過少申告加算税(原則10%)が賦課されますが、それが事実を隠蔽または仮装した行為に基づく場合には、過少申告加算税に代えて重加算税(35%)が課されます。

隠蔽・仮装行為に該当する例としては、

  • 1回の会食を分割して記載すること
  • 相手方を偽って記載すること
  • 参加人数を水増しして記載すること等です。

この隠蔽・仮装行為には、税金をごまかす意図があることは要件とはされていません。今回の事例のFさんの行為は、会社の経理に対する事後報告が面倒であっただけですが、隠蔽・仮装行為に該当し、重加算税の賦課対象になる可能性があります。

4 事例について

O社は、Fさんの報告に基づき、接待費である2万4500円について損金に算入しました。しかし、実際には、この接待費は交際費に該当する性質のものなので、損金への算入が制限されます。したがって、O社は、その事業年度における所得の額を過少に申告したことになります。そして、当該過少申告については、Fさんによる隠蔽・仮装行為に基づいているので、重加算税が課される可能性があります。

5 実際に報道された過去の事例

このケースと類似した事例として、実際に大手の会社が飲食接待などの会計処理を巡り、3年間で実際より5千万円所得を少なく申告していたことから、「5千万円所得隠し」としてマスコミに大きく報道されたことがありました。5千万円とはいっても売上高1兆円を超えるような大手の会社なので、同社にとっては、それほど大きな金額とはいえないかもしれません。しかしながら、同社は重加算税に課され、報道の影響があったのか同社の株価が続落する事態を招くことになりました。そのうえ、税務コーポレートガバナンスの取扱いとして、社員は懲戒処分に付される可能性があります。

6 担当講師による忠告

今回のセミナーを担当された講師によると、単なる飲食接待に関するごまかしが重大な結果を招くことはあまり知られていないとのことでした。そのため、特に、営業の方々に対して、安易な飲み会のごまかしが重大な結果を招くということだけでも認識してほしいと忠告していました。

 

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